Birdis Land's
北 欧 旅 行 記
in June 1996

第五話 「ノルウェー入り」

1996年6月24日

朝、早めに起きようとしたが、起きたのは結局いつもと同じ7時半だった。 朝飯を食って 部屋を片づける。今日は3日間お世話になったアービスコに別れを告げ、OFOT鉄道でノルウェーのナルヴィーク(NARVIK)に移動するのだ。ここツーリストスタショーンでは、宿泊料金アップを防ぐため、旅行者が出発前に部屋を掃除しなければならない。(そのような趣旨の貼り紙がしてある。)各階に備え付けの掃除機を借りて部屋を掃除し、チェックアウト。

売店でTシャツ、帽子、本、地図などの買い物を済ませ、荷物をラゲッジルームに預け、最後の散策。ツーリストスタショーンに3泊も滞在していたのだけど、テント場とか ボート乗り場の桟橋 とか、サーメ人の居住跡を再現した広場など、まだ行ってない場所がいっぱいあった。空は曇っていたが、所々日が射していてまずまずの天気。

ナルヴィーク行きの列車は12時40分の予定。駅は無人駅で私達の他には客もなく切符は車内で購入するしかなさそう。無人駅は仕方ないとして、他の乗客でもいれば切符の買い方とか聞けるのに、誰もいないのはなんとなく不安。それにしても列車の来る気配がまったく無い。非常にマイナーな路線なので一日に何本も走っているわけではないし、時刻表を読み間違えていたら他にナルヴィークまでの交通手段は無いわけで、以後の予定がすべて狂ってしまう。と、若干の不安を募らせながら 列車を待っていたら 、定刻近くになってツーリストスタショーンで一緒だった例の日本人団体さんがやってきた。それから10分くらい遅れてナルヴィーク行きの列車が到着した。

スウェーデンからノルウェーに向かうオーフォート鉄道(OFOTBANEN オーフォートバーネン)は、事前に収集していた情報によると車窓からの景色がすばらしくオススメとのことだった。特にノルウェー国境を過ぎてからは、列車はフィヨルドの断崖絶壁を這うように進み、高度感万点でスリルもあって楽しめる、とのことだったのでかなり期待していた。しかし、天気は下り坂。国境付近ではとうとう雨が降りだした。おまけに、ちょうどフィヨルドに差しかかったときに車掌さんが来て乗車券のチェックを開始。切符を持っていなかった私たちは車掌さんに乗車駅と目的地を説明せねばならず、そうこうしているうちにオーフォート鉄道のハイライトは過ぎてしまった。

天気のせいか、車掌さんに中断されてじっくり見られなかったせいか、それとも期待しすぎたせいか、 オーフォート鉄道の車窓からみる景色 は確かに良かったが、正直な所むちゃくちゃ凄いというほどでもなかった。列車はフィヨルドの中だんだん高度を下げていき、やがて今回の旅程の最北の滞在地、ナルヴィークについた。

このあたりから天気は晴れだし、雲の率が50%近くまで減った。天気のせいか、ナルヴィークの街は活気もストックホルム以上に感じられ、人々も生き生きしていた。取り合えず今晩の宿泊地、インターノールグランドホテル(INTERNOR GRAND HOTEL)でチェックインを済ます。朝食を取るか聞かれたが、明日は朝一番のバスでハールスタード(HARSTAD)へ行くので時間が無い言うと、朝食をパックにして用意してくれるとのこと。ラッキー。

例の日本人は案の定このホテルに来ていた。なんか、行動パターンが同じでいやな感じだ。ホテルの部屋は結構豪華だった。バスタブ付きトイレ。もちろんタオル、石鹸、シャンプーハット、ドライヤー付き。アイロンにズボンプレッサーまでついている。しかし、音をたてると鳴き竜みたいに天井が響くのはどうしたものか。

荷物を置いて、街の観光に出掛ける。まず、ホテルを出て右手のバスターミナルの下のインフォメーションに行き日本円を現地通貨のNKRに換金する。最初小銭だけでいいかと思い、2000円だして、すぐにバス代もいることに気づき、あと10000円換金する。手数料を2回分取られ、損をした。

そのあとロープウェイでナルヴィークの街が一望できるという展望台があるファーゲネス山(FAGENESFJELLET ファーゲネスフェレット)の中腹まで登り、 山小屋風のレストラン(テラスがすごい高度感) でビール、スメルゴス(SMO:RGA^S 北欧名物のサンドイッチ)、コーヒーを食す。エビの乗ったスメルゴスが大変美味。その後、付近を散策していたら、例の日本人の団体さん発見。ここまで行動パターンが同じだともう驚かない。

展望台の周辺は特に派手な設備があるわけではないが、シンプルで気持ちがいい場所だった。標高は650mくらいだが緯度が高いため、日本の3000メートルクラスの山岳地帯にいるような感じだ。観光地でよく見かける、どこそこまで何キロと、という道標があった。展望台からの景色は素晴らしく、ナルヴィークの街並みやオーフォートフィヨルド(OFOTFJORDEN オーフォートフョーデン)が一望できた。天気も晴れてきて嬉しくなる。この展望台には観光客のみならず地元の人もくるみたいで、地元の人らしき親子連れも遊んでいた。 子供が可愛くて、ノルウェイジャンセーターを着ていたのだが、さすがネイティヴだけあってセーターが妙に似合っていて格好よかった

ロープウェイで展望台から戻りスーパーで買い物。ナルヴィークの街は可愛い家が多い。特に興味深かったのが、出窓を綺麗に飾りつけをしていることだ。どの家も窓際にプランターの花を置いたりカーテンを工夫したりして、各家ごとに個性を出している。一軒家だけでなく、 集合住宅のような部屋の窓ですら、一軒一軒違う飾り付けがしてある のは驚いた。また、坂が多いのも特徴。この街でもMTBが流行っているようで、子供達が元気にMTBをこいでいる姿が目に付いた。

晩飯をどこにするか考えているうち重大な問題に気づいた。明日のバス代が足りないのだ。日本円は持っていたのだが、換金した現地通貨(NKR)を使いすぎたようだ。気が付けばもう7時を回っていて、インフォメーションは既に閉まっていた。夏の北極圏はいつまで経っても太陽が沈まないので時間の感覚が狂うのだ。ホテルのレセプションで聞いてみると、ホテルでは換金出来ないがホテルの並びのステーキレストランで換金してくれるとのことなので、夕食をそこでとることにする。 エビと貝のピザ と、ビーフスナックを頼んだ。アービスコで北欧っぽい料理をたくさん食べてたので、なんか、いかにもアメリカンという感じのオーダーになった。ピザは直径30センチくらいで、 ビーフスナックもポテトが山盛り付いて どちらもボリュームたっぷり。

支払いをカードで済ませ、いざ換金しようとすると、何ということかレストランでも出来ないとのこと。仕方なし、ホテルにもどって有り金を数えてみた。スウェーデンの通貨(SKR)とノルウェーの通貨(NKR)を合わせればハールスタードまでのバス代は足りるようだった。しかし、ハールスタードから次の宿泊予定地のスヴォルヴァー(SVOLVAER)に移動するための交通手段の沿岸急行船の料金が払えない。ピンチだ。もう一度レセプションに行き事情を話すと、バスはSKRが通用するし、ハールスタードの銀行で換金出来るので問題ない。最悪、換金出来なくても沿岸急行船はカードが使えるので問題ないとのこと。この言葉を信じる。どちらにしても、今日はもう打つ手がない。ここまで比較的順調だった旅行が、ここにきて風向きが怪しくなってきた。


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