Birdis Land's
北 欧 旅 行 記
in June 1996


第六話 「海上アルプスLOFOTEN」

1996年6月25日

朝、レセプションでチェックアウトを済まし、ランチボックスをもらってバスターミナルへ。ハールスタード(HARSTAD)行きのバスを待つ。今日の予定はバスでハールスタードに移動した後、沿岸急行線(HURTIGRUTEN フティーグルーテン)と呼ばれる船でローフォーテン諸島(LOFOTEN ローフォーテン)の小さな港町、スヴォルヴァー(SVOLVAER)に移動するのだ。現地通貨も持ち合わせが少ないのが気がかりだが、まぁ何とかなるだろう。

沿岸急行線はノルウェー北部の沿岸沿いの街を一週間ほどかけて結んでいる航路だ。中でもヴェストフィヨルド(VESTFJORDEN ヴェストフョーデン)という大きなフィヨルドの北部に位置するローフォーテン諸島の間を縫うように航海するハールスタード〜スヴォルヴァー間は、このクルーズのハイライトと言われている。このハイライトの一日間だけ沿岸急行線に乗って、フィヨルドのクルーズを楽しもうという寸法だ。

このローフォーテン諸島クルーズは今回の旅の目玉のひとつで、何でも有名なソグネフィヨルドにも劣らぬ景色が堪能できると言う。ヨーロッパアルプスを彷彿させる鋭い岩峰が海上からニョキニョキと突き出ている中を一日かけて船で行くという、山好きには堪えられないコースでとっても楽しみだ。

バスは定刻通り出発した。やたら大きなバスなのに客は非常に少なく、我々を入れて10人に満たなかった。その代わりといってはなんだが、このバスは郵便配達も兼ねているようで、要所要所で大きな郵便物の入った袋を降ろしたり積んだりしていた。

バスはエーヴェネス(EVENES)という街に到着。ここでハールスタード行きに乗り換えるらしい。ランチパケットを半分(つまり一人前分)食べ、乗り換えのバスを待つが、定刻になっても運転手が来ない。海外では交通機関が日本みたいに正確ではないというのは知識としては分かっているものの、やはり不安だ。5分ほど遅れて運転手がやってきた。切符はエーヴェネスまでしか購入していなかったので、ハールスタードまでの切符をSKR(スウェーデンの通貨)で購入出来るか聞いてみると、あっさり断られた。現地通貨のNKRの持ち合わせはもう無かった。日本円は持っていたが通用するはずもない。慌ててあわててバスターミナルにあったSAS(スカンジナヴィア航空)のカウンタに行き、SKRをNKRに換金出来るか聞いてみるが、ここでも出来なかった。バスは出発時間をとうに過ぎていて、私達を待っているようだ。他に換金できそうなカウンタが無いかうろうろしていたらバスの運転手が急かしに着た。ここでようやくクレジットカードのCDを発見。無事現金を引き出すことが出来た。定刻より15分遅れでバスは出発した。

天気は晴れ。まぶしい太陽が嬉しい。 バスからの景色はとても良かった 。海岸沿いの可愛い家々や、遠くの岩山、フィヨルドの青く深い海を眺めながら走る。途中のターミナルでまたバスを乗り換え、定刻通りハールスタードに到着。沿岸急行船のチケットは船の中のレセプションで購入するそうだ。 港に停泊していた船は思ったより遙かに豪華な大型船 で、これならカードも十分通用しそう。しかし、先ほどCDでバス代と一緒に船代分も合わせて700NKRも引き出していたので、急行船の運賃(二人分で474NKR)はキャッシュで払う。現地通貨が足りない、という問題もこれでお別れ。やれやれ一安心だ。

ところが再び問題発生。荷物を2階のロッカーに預けようとしたら、5NKR硬貨が3枚必要だったのだ。NKRは十分持っていたが、硬貨がないのだ。売店で両替してもらって硬貨を入手。荷物をロッカーに入れて、手荷物だけ持って後部の デッキに並べてある椅子 に落ちつき ハールスタード港がだんだんと小さくなっていくのを眺めながら 一休み。昨日から続いていた現地通貨不足による不安材料もようやくクリアし、今度こそ一安心だ。

天気は晴れ。太陽の光が暖かく、風が気持ちいい。デッキで飲むビールは最高に美味かった。船は思ったより揺れず、まさに豪華客船といった感じ。船内のアナウンスはノルウェー語、英語、ドイツ語の三ヶ国語でやっていた。ドイツ人観光客が結構多いようだ。

船はローフォーテン諸島の中を縫うように進む。シーカヤックで行けば面白そうな 秘密の隠れ家的雰囲気の入り江 とか、 アルプスの岩峰のピーク付近だけ切り取って浮かべたような小島 とか、 海の上に蜃気楼のように浮かんで見える、まさに海上アルプスといった風情の遠くの山々 とか、まったく飽きさせない風景が続いた。山好きには堪えられない眺めだ。

途中の寄航地、ストックマルケン(STOCKMARKEN)で少し時間を取るそうなので、我々も他の観光客と一緒に上陸。ソフトクリーム(18nkr)を購入した。トッピングを頼むと、トッピングが入っている箱にソフトクリームごと突っ込み、ぐりぐりと回してトッピングをたっぷりつけてくれた。日本なら、トッピングを指でつまんで上からふりかける所だ。これも文化の違いか。

船はストックマルケンを離れ、スヴォルヴァーに向かう。船内のレストランで 肉料理を頼んで、残しておいたランチパケットと一緒に昼飯 。風が強くなってきたようで、太陽の光があたっていると暖かいのだが、日陰に入るととたんに寒くなる。そうこうしてるうちに、船はいよいよ今日のクルーズのハイライト、小さな入り江の中に入っていき、入り江の奥で船を一回転させる、というサービスが始まるアナウンスがあった。(船のレセプションの壁に、毎日の航海のハイライトの説明が貼ってあった)

流石にハイライトだけあって、 幅数百メートルの狭いフィヨルドの中を船が進んでいくのは迫力満点 。我々の沿岸急行船のすぐ後ろを テレビの撮影隊らしき船が逆光の中ついてくるのも格好良かった 。ただ、連れ合いは寒いと言って船内に引っ込んでしまい、おかげで私は一人でビデオカメラを回しながら写真を撮影しなければならず、大変だった。

夕刻、(といっても昼間のように明るいが) スヴォルヴァーに到着 。、船を降りて中央通りを真っ直ぐ進むと、すぐに今晩の宿泊予定地、ロイヤルホテルローフォーテン(ROYALHOTEL LOFOTEN)は見つかった。こじんまりとしたホテルだが、部屋のコーナーが出窓のようになっていて、 窓からアルプスっぽい岩峰と池が見える グッドロケーション。

夕食まで時間があるので街中を散歩する。スヴォルヴァーは小さな港町でナルヴィーク同様可愛い家が多い。このあたりはまだ北極圏なので、夏の間は一日中太陽が沈まない白夜だ。緯度が高いため、街自体が日本だと3000メートルクラスの山の頂上付近にあるようなもので、 街の外れの小高い丘が穂高や剣と見紛うばかりの風格を持っている 。ヨーロッパアルプスのような岩と氷の世界ではなく、緑と岩のコントラストが日本の高山帯を彷彿させて、心をなごませてくれた。

街を一通り歩いたが、外食出来そうな店はほとんど無かったので、夕食はホテルの中のちょと高級そうなレストランで取ることにする。流石に港町だけあってメニューを見ると魚貝類が豊富なようだ。日本人には嬉しい の料理を頼む。量は少なかったが美味だった。


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